蛇に睨まれた蛙
一人暮らしを始めた頃、当時からバリバリのスカトロ属性だった僕は、お金をかけずにオ○ニーのオカズを手に入れるべく、よく近所の古本屋さんに出入りしてました。17か18くらいのときです。
今のようにスカトロ雑誌が定期的に安く手に入る時代ではなかったので、山積みで投げ売りされているSM雑誌の中から、できるだけスカトロ描写がされているものを選んで買っていました。
お金が無いのでどれを買うかはいつも真剣勝負です。長時間立ち読みしても怒られないのをいい事に、いつも1時間以上ねばってはその日のオカズを決めていました。
そんなある日、いつものようにその古本屋さんに行くと、あまり見かけない女のお客さんがいました。その女性の年齢は見た目20代半ばで、仕事帰りのOL風の服装がちょっとお店で浮いた感じになっていました。
お姉さんはエッチ本のコーナーに近い一般古書のコーナーで立ち読み中。お姉さんの存在が気になった僕は一旦エッチコーナーに向かうのを躊躇しましたが、しばらくお姉さんの様子を伺っても帰る様子が無かったので、意を決してSM本の選定に入る事にしました。
時々お姉さんの視線を感じましたが、もういまさらやめる事もできずに無視して選定を黙々と続ける僕。
集中して選び始めると、いつしか僕はお姉さんの存在を忘れていました。
そのまま30分以上選び続けていると、積まれたSM本の向かい側から不意にスッと
白い手が現れ、SM本をむんずと4~5冊掴むとレジの方向に向かって行きました。
ん?誰?
視線を上げるとレジに向かうお姉さんの背中が見えた。
えっ?女の人もこういう本を読むんだ・・・。
当時10代のガキだった僕は、うまく状況がつかめずに呆然としていました。いま思えばお姉さんは僕が帰るのを待ってたんですね、だからこっちをチラチラ見てた。
会計を終えたお姉さんが、入り口のガラス戸があるこっちに向かってくる。
顔を改めて見ると色白の和風な顔立ちのお姉さんでした。
お姉さんは僕に視線をくれる事無くガラス戸を空けてお店を出て行きました。
ガラス戸を締めてお店から出るお姉さん。
外は夜なので暗く、ガラス戸から漏れた店内の明かりがお姉さんを照らしている。
・・・・えっ?
そのお姉さんが、店を出てから店内の僕の顔を見てニヤッと笑った。
ハッキリ僕の目を見て口元をニッとさせて笑った。
和風の切れ長の目とその不気味な表情があまりにも怖く、僕はビビッてしまってお姉さんの顔を見たまま固まってしまいました。まさしく「蛇に睨まれた蛙」状態。
僕のその状態が見ていて可笑しかったのか、お姉さんは「ニヤッ」から「ニコッ」に表情を和らげて暗闇に消えて行きました。
あの笑みにはいったいどんな意味があったのだろう?
いまでもたまにあの表情を思い出すのです。
どんなホラーより怖い思い出・・・
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