奈々ちゃん
以前勤めていた職場のフロントに奈々ちゃんという小柄な娘がいて、当時の僕はこの娘の事が大のお気に入りでした。ショートヘアが似合って、ちょっとおきゃんで、でもそれはわざと演じているような、どこか憂いを抱えている感じのする娘で、とにかく最初に挨拶をした時からの一目惚れだった。
そんな奈々ちゃんと2人きりでフロントにいたときの事。
「ヾ(・ω・。`) ネェネェ…はるちゃん聞いて!」
「なに?」
「昨日家に帰ったらサツマイモがあったから食べたの。」
「うん。」
「こんなに大きかったんだけどお腹空いてたから1本全部食べちゃったの。」(結構な太さを手で表す)
「うん。」
「そしたらね、友達から遊びにおいでって誘われて、」
「はいはい」(何の話だ?)
「遊びに行ったらピザが有ったの!」
「はぁ」(食べ物の話?)
「それ以外にも色々あったからいっぱい食べちゃったの」
「いっぱい食べたんだ。」(大食いを後悔してるのかな?)
「そしたら今朝・・・」
「ん?」(今朝?)
「うんこいっぱい出たさ!」
「うんこ・・・?」
「いっぱい出過ぎて(洋式便器の)水溜りからハミ出てたさぁ~www」
突然のうんこ宣言、それもお気に入りの娘からの告白だった事に困惑していると、その表情が面白かったのか
「湯気が出てたよ。」(冬の北海道なんで)
「臭かったさぁ~www」
と続けてきた。
以後、トイレの前で入る前に鉢合わせすると「一緒に入る?」
トイレから出てきたときに会えば「いま音聞いたでしょ!」
どうやら僕はそういう話題が苦手だと勘違いしたらしく他の女性陣にも吹聴してまわったようだ。以後そのキャラが僕に定着した。
奈々ちゃんが下痢をした日
それからしばらく経ったある日の事。
朝から女性陣がなんか楽しそうに話をしていた。聞いてみると昨日の仕事終わりにフロントの女性陣だけで食事会のようなものが行われたとの事。激辛のソースを掛けた料理が美味しかっただの今朝お尻が痛かっただのと、開店前でお客さんが居ないのを良い事にキャッキャキャッキャと盛り上がっている。
お尻が痛かった発言はフロントのビッグママである主任の発言なので基本スルーしていたが、話を聞いている限り全員がその料理を食べたらしいので今ここにいる女性陣も近いうちにお尻が痛くなったり熱くなったりするんだろう。陽子ちゃんも斎藤さんも入社する前の話なので僕が想像したのは奈々ちゃんの事だった。でも、奈々ちゃんの姿が見えない。
「今日って奈々ちゃん早番ですよね?」
「あれ?まだ来てない?ちょっと遅いね。」
まだ遅刻扱いになる時間ではないが、いつもなら早めに出社している奈々ちゃんの姿が無いことに主任も少し意外そうにしている。
「そんな事より私たち臭くない?」
主任が話を変えてきた。正直な話、女性陣全体からニンニク臭が漂っていた。いや、決して不快に感じるほど臭っていたわけではなく、各自ケアをしっかりと取ったであろうミント系のニオイも混じってはいたが、間違いなくニンニク系の食事を摂ったであることはわかってしまう程度のニンニク臭は全員から漂っていた。
「ニンニク系ですね?」
「分かる?www」
「そんなに強くは無いですけれどw」
「激辛で激クサだったさ~ごめんね。みんな臭くてwww」
「いえいえ、昨日奈々ちゃんも一緒だったんですか?」
「うん。その激辛が気に入ったらしくてさ、残った分ひとりで全部食べてたよw」
「ひとりでですか?大丈夫なんですか?」
「お尻が?www」
これで一同大笑いとなった。僕は食べ過ぎの話のつもりだったけれど女性陣はもう止まらない。しょうがないのでレジの準備金のを取りに事務所の金庫まで向かった。廊下に出るとちょうど奈々ちゃんが出勤してきたところだった。
「おはよ(^^)」
「おはよう(´・_・`)」
奈々ちゃんに元気が無いのが気になったけどそのまま事務所へと向かう。準備金を受け取ってレジに戻るとすでに井戸端会議は終了していて、各自開店へ向けての準備を始めていた。
「あれ?奈々ちゃん来ましたよね?」
「あの娘ならいまトイレに行ってる。朝から下痢なんだってw 昨日辛いの食べ過ぎたからw」
バックヤードの女子トイレの前には奈々ちゃんのサンダルは無い。奈々ちゃんもうんこの時にはお客さん用のトイレを使うようだ。
「あらら大変ですね・・・」
「いま私と同じ痛みを味わってるよwww」
主任にとって僕も奈々ちゃんも子供のような存在なので発言に容赦がない。
奈々ちゃんいまニンニク臭い下痢うんちをトイレでヒリ放ってるんだ・・・
僕は想像しちゃいけないと思いつつもその音やニオイを想像していた。みんながこれだけニオイを放つくらいなんだから、ひとりで沢山食べた奈々ちゃんのうんこはきっとビックリするくらい臭うに違いない。あの小柄で可愛らしい奈々ちゃんのお尻から緩々の下痢うんちが出ているんだな。臭いんだろうな・・・
ズボンの上からでも分かってしまうくらいにチンチンが大きくなってしまったので想像はここで終了。開店準備に集中する。
もぉ~お腹もお尻も火事だよ!
10分もした頃だろうか、フロントの電話が鳴った。僕が出ると事務所からだった。奈々ちゃんに外線が入っているとのこと。
「主任どうします?奈々ちゃんに外線ですって。」
「館内放送で呼んじゃえば?」
「いや、だって・・・今はマズイじゃないですか?」
「はるちゃんなに気にしてんの?ほらっ、」
そう言うと主任が館内放送のマイクを手にとった。
「〇〇からお越しの●●さま。〇〇からお越しの●●さま。お電話が入っておりますので一階フロントまでお越しくださいませ。」
うちには幾つか符丁があって、○○は実在しない住所でこれを使った時は従業員の呼び出しになっていた。●●には奈々ちゃんの苗字が入る。まだ開店してないとはいえロビーには開店待ちのお客さんがたくさん待っている。この状態で呼出しを受けた奈々ちゃんがフロントに戻ってくる。急いでお尻を拭いて戻ってくる。こんな長い時間トイレで踏ん張ってたって事はまだお腹がスッキリしないのだろう。それでも奈々ちゃんはヒリヒリしている肛門をペーパーで拭ってフロントまで戻ってくる。
1分掛からないうちに奈々ちゃんが小走りでフロントに戻ってくるのが見えた。あさ会った時に青かった顔が真っ赤になっている。顔を伏せながら身体を小さくしてこちらに向かってくる。一瞬僕の視線に気付いたみたいだがすぐに視線を外されてしまった。お客さんはともかくとして、フロント全員が奈々ちゃんがうんこをしていた事を知っていると奈々ちゃん自体が悟った瞬間だろう。奈々ちゃんは今どんな気持ちなんだろう?
電話は3分程度で終わった。こんな時なんて声を掛けたらいいんだろう。あと数分でお店が開店してしまう。何も言わずに微妙な空気のまま仕事をした方がいいのかな・・・?
「奈々!お尻痛かったでしょ?www」
主任がデリカシーも何もない声掛けをした。それに対し奈々ちゃん。
「もぉ~お腹もお尻も火事だよ!火事!ねぇ?はるちゃんも聞いて!火事なの!火事!」
急におどけたように話し始める。そうか、主任のデリカシーの無さは案外奈々ちゃんの助け舟になったんだなぁ。
最初に書いたように奈々ちゃんはおきゃんを演じているがどこか憂いを抱えている影のようなものがある女性だ。きっと恥ずかしがっている自分を悟られる事すら恥ずかしいに違いない。主任の意図的ではない助け舟によってスムーズにおどける事が出来たようだ。そんな奈々ちゃんの気持ちを想うとなんだかとっても切ないような感覚になった。そして奈々ちゃんの事がもっともっと好きになっていた。
奈々ちゃんは、結局この日は仕事中にあと2回お客さん用トイレのお世話になっていた。
ちなみにその数年後、奈々ちゃんに思いっきり振られて僕はスカ風俗に走ります。
そしてハマリます。(女性がうんこするところを初めて見た日へ)
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