ドラッグストアにいたお母さんと男の子
今から20年近く前の暑い夏の日。
当時僕が住んでいたアパートの一階にはドラッグストアがテナントで入っていた。狭いテナントスペースで無理に営業をしていたので店内にはいつも商品がギュウギュウに並べられており、積まれた商品の間にできた通路で客同士がすれ違うのにもお互いの体の一部がどこか触れてしまうくらいだった。
僕は夏バテ対策用のビタミン剤を買いに店内に足を踏み入れる。ここの薬局は薬剤師に直接話しかけて薬を棚から取ってもらうシステムだ。
店内に入ると、狭い通路をレジの方向に向かって20代前半のお母さんとその前を4~5歳の男の子が歩いていた。僕は通路の途中に立ち止まりその親子の買い物が終わるのを待った。
レジに着いた親子だったが店員女性の「何かお探しですか?」の問いに若干しどろもどろになりながら「ほらっ・・・お姉さんに渡して」と男の子に何かを促した。
男の子の手にはキャンペーンで通路の途中に並べてあったポカリスエット350ml缶が一本。男の子が店員のお姉さんにそれを渡す。
「ん?まさかそれ一本の為にこの店に来たの?・・・っていうかこの店の入口にある自動販売機に同じものが冷えた状態で売っているのに・・・」
僕は少しイラっとしたがそのままレジが終わるのを待つ。
「・・・・・・あと・・・イチジク浣腸2つ・・・」
「はい。子供用でよろしかったですか?」
「いえ・・・」
「あっ、大人用ですね」
「あっ・・・はい」
「合わせて○○円になります。」
あ~浣腸を買いに来るのに子供をダシに使ったな。店内の客は僕とその親子だけ。そういえばお店の入口で出てくるお爺さんとすれ違ったけど、このお母さんは他の客がいなくなるのを待ってたんだな。やっと誰もいなくなったと思ってレジに向かったら僕が入ってきた訳だ。そりゃしどろもどろにもなるわな・・・それにしてもまさか店員さんに「子供用ですか?」切り返されるとは思ってなかったんだろうな。子供をダシに使ったのが裏目に出たね。その時の店員さんのハッとした顔が今ここで起きていることの全てを表していた。全員が気まずい・・・
そういえばお母さんちょっと具合悪そうだな。
お母さんはスッピンにしたCharaみたいで色白で可愛い感じだったけれど肌の荒れが凄く目立っていた。白のTシャツが汗で湿っていて少しブラが透けている。大きいトートバッグを肩からかけて手にはタオル生地の大きなハンカチを持っていた。
もしかしたら近所の薬局で浣腸を買うのが恥ずかしくてこの店を選んだのだろうか?だとしたらこの炎天下かなりの距離を歩いてきたんだな。
レジを終えた親子がこちらに向かってくる。お母さんは明らかに僕の事を意識している。「浣腸を買うところを男性に見られちゃった」という羞恥心が気の毒になるくらいに僕に伝わってきた。
狭い通路で先に男の子とすれ違う。続いてお母さん・・・やはり狭すぎて腕と腕が触れてしまう。汗でお母さんの腕がベタベタしていた。
ビタミン剤を買ってお店の外に出ると子供の手を引いたお母さんが信号待ちでまだ近くにいた。出てきた僕に気付いてチラチラこちらの方を気にしている。一瞬声をかけたい衝動に駆られたがここで声をかけてしまっては犯罪者ではないか・・・いや、当時の僕にはそんな勇気さえもなかった。
部屋に帰り悶々とする。もう家に着いたかな?もう使ったかな?今頃我慢してる最中かな?いっぱい出たかな?
ジタバタした挙句レンタルビデオ屋に浣腸モノを借りに行った。そして腰がぬける程のオナニーをした。
実際に僕が女性に浣腸を行うのにはあと数年の月日を要するのであった。
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